オプション投資は、相場の上昇・下落どちらにも対応でき、少ない資金で大きな利益を狙える魅力的な投資方法です。

しかし、その反面、リスク管理を怠ると大きな損失を被る可能性もあります。

そこで重要になるのが、オプションの買いと売りを組み合わせることでリスクをコントロールしながら利益を狙う「スプレッド取引」です。

今回は、日経225オプションでよく使われる代表的なスプレッド取引である、

  • デビットスプレッド

  • クレジットスプレッド

  • コンドルスプレッド

  • アイアンコンドルスプレッド

について、具体的な例を挙げながら詳しく解説していきます。

これらの戦略を理解し、適切なタイミングで使い分けることで、オプション投資で成功する確率を高めることができるでしょう。

1. デビットスプレッド – 緩やかな上昇・下落を狙う

「相場は上昇(下落)しそうだけど、急激な動きはなさそう…。」

そんな時に有効なのがデビットスプレッドです。

デビットスプレッドは、同じ満期日の異なる権利行使価格のオプションを同時に買いと売りで行う戦略です。

権利行使価格が近い方のオプションを買い、遠い方のオプションを売ります

デビットスプレッドの損益イメージ

  • 利益:予想した方向に相場が動き、買ったオプションの価値が上がった場合

  • 損失:予想と反対方向に相場が動いた場合、または相場がほとんど動かなかった場合

最大利益と最大損失は、取引時に確定しており、相場がどれだけ大きく動いても、損失が一定額以上になることはありません。

具体的な例(コールオプションの場合)

  • 現在の日経平均株価27,500円

  • 1ヶ月後のSQ日に、緩やかに上昇すると予想

  • 28,000円のコールオプションを1枚80円で買い28,250円のコールオプションを1枚50円で売る

この場合、

  • 最大利益: 28,250円 – 28,000円 – (80円 – 50円) = 220円 (22,000円)

  • 最大損失: 80円 – 50円 = 30円 (3,000円)

となります。

日経平均株価が28,250円以上になれば最大利益、28,000円以下なら最大損失、その間の場合は利益または損失となります。

デビットスプレッドの特徴

  • メリット

    • 損失を限定できる

    • 証拠金が比較的少なくて済む

    • 初心者でも理解しやすい

  • デメリット

    • 利益も限定される

    • 大きく相場が動かないと利益が出にくい

    • 決済のタイミングが難しい

2. クレジットスプレッド – 相場の安定を見込む

「相場はしばらく今の水準で推移しそう…。」

そんな時に有効なのがクレジットスプレッドです。

クレジットスプレッドも、デビットスプレッドと同様に、同じ満期日の異なる権利行使価格のオプションを同時に買いと売りで行う戦略ですが、権利行使価格が近い方のオプションを売り、遠い方のオプションを買います

クレジットスプレッドの損益イメージ

  • 利益:相場がほとんど動かなかった場合、または予想した範囲内に収まった場合

  • 損失:予想と反対方向に相場が大きく動いた場合

最大利益は、取引時に受け取るオプション料となります。

一方、最大損失は、権利行使価格の差額からオプション料を差し引いた金額となります。

具体的な例(プットオプションの場合)

  • 現在の日経平均株価27,800円

  • 1ヶ月後のSQ日に、相場が大きく動かないと予想

  • 26,000円のプットオプションを1枚100円で売り24,500円のプットオプションを1枚35円で買う

この場合、

  • 最大利益: 100円 – 35円 = 65円 (6,500円)

  • 最大損失: 26,000円 – 24,500円 – (100円 – 35円) = 1,435円 (143,500円)

となります。

日経平均株価が26,000円以上で推移すれば最大利益、24,500円以下になれば最大損失、その間の場合は利益または損失となります。

クレジットスプレッドの特徴

  • メリット

    • 相場が動かなかった場合でも利益が出る

    • 証拠金を抑えることができる

  • デメリット

    • 損失が大きくなる可能性がある

    • 相場が大きく動くと損失が出る

3. コンドルスプレッド – レンジ相場での利益を狙う

「相場はしばらく上下しながらも、一定の範囲に収まりそう…。」

そんな時に有効なのがコンドルスプレッドです。

コンドルスプレッドは、デビットスプレッドとクレジットスプレッドを組み合わせた戦略で、コールオプションとプットオプションの両方で行うことができます。

コンドルスプレッドの損益イメージ

  • 利益:相場が予想した範囲内に収まった場合

  • 損失:予想範囲の上限または下限を超えて相場が動いた場合

コンドルスプレッドも、最大利益と最大損失は取引時に確定しています。

具体的な例(コールオプションの場合)

  • 現在の日経平均株価25,000円

  • 1ヶ月後のSQ日に、25,500円~27,000円の範囲で推移すると予想

  • 25,500円のコールオプションを買い、25,750円のコールオプションを売り

  • 27,000円のコールオプションを売り、27,250円のコールオプションを買う

この場合、最大利益は174円、最大損失は76円となります。

日経平均株価が25,750円~27,000円の範囲で推移すれば最大利益、25,500円以下または27,250円以上になれば最大損失、その間の場合は利益または損失となります。

コンドルスプレッドの特徴

  • メリット

    • レンジ相場でも利益を狙える

    • 損失を限定できる

    • 利益確定となる範囲が広い

  • デメリット

    • 利益が限定される

    • 4枚のオプションを売買するため、手数料が割高になる

    • 決済のタイミングが難しい

4. アイアンコンドルスプレッド – 大きな動きがない相場を見込む

「相場はしばらく膠着状態が続きそう…。」

そんな時に有効なのがアイアンコンドルスプレッドです。

アイアンコンドルスプレッドは、コールオプションとプットオプションの両方でクレジットスプレッドを構築する戦略です。

つまり、「ここまでは上がらない」「ここまでは下がらない」という予想のもと、4枚のオプションを売買します。

アイアンコンドルスプレッドの損益イメージ

  • 利益:相場がほとんど動かなかった場合

  • 損失:予想以上に相場が上昇または下落した場合

具体的な例

  • 現在の日経平均株価27,500円

  • 1ヶ月後のSQ日に、26,000円~29,000円の範囲で推移すると予想

  • 26,000円のプットオプションを売り、25,500円のプットオプションを買う

  • 29,000円のコールオプションを売り、29,500円のコールオプションを買う

この場合、最大利益は27,000円、最大損失は223,000円となります。

日経平均株価が26,000円~29,000円の範囲で推移すれば利益、25,500円以下または29,500円以上になれば損失となります。

アイアンコンドルスプレッドの特徴

  • メリット

    • 証拠金を大幅に抑えることができる

    • 大きな動きがない相場で有効

  • デメリット

    • 利益が限定される

    • 損失が大きくなる可能性がある

    • 4枚のオプションを売買するため、手数料が割高になる

まとめ

今回は、日経225オプションでよく使われる代表的なスプレッド取引について解説しました。

それぞれの戦略には、メリットとデメリットがあり、相場状況や投資スタイルに合わせて使い分けることが重要です。

オプション投資は、奥が深く、様々な戦略を立てることができます。

今回ご紹介した戦略を参考に、あなた自身の投資戦略を構築してみて下さい。