最近テレビCMなどでもよく見かけるGOファンド。
どんなものかと思って調べてみたところ、内外の指数先物や債券先物で運用する商品なんですね。
位置づけとしては、ヘッジファンドの扱いのようです。
ファンドマネージャーの田沼豪さんが前面に出ることで安心感を生んでいます。
ファンドマネージャーが前面に出て説明責任を果たそうとする姿勢は個人的にはとても好感を持てます。
で、このGOファンド。運用の巧拙よりも気になったのが、報酬体系。
管理報酬年率2%、成功報酬がハイウォーターマーク方式で運用益に対して30%とのこと。
どうなんだろう、と思っていろいろ調べたことを備忘録的にまとめました。
結論として、GOファンドの成功報酬30%ってのは相場よりは少し高いのかな?と思った次第です。
指数先物と債券先物での運用ということなので、田沼豪氏の相場感やクオンツ的なモデルによる国別配分やアセットアロケーションが収益源泉となっていると思われます。もう少し資産残高が増えてきたら、成功報酬率の引き下げが可能かもしれませんね。
ハイ・ウォーター・マーク方式の成功報酬は、特にヘッジファンドや投資ファンドでよく使われるパフォーマンスフィーの計算方法です。この方式は投資家の利益を保護し、ファンドマネージャーが実際の利益を上げた場合にのみ成功報酬を受け取れるようにするために用いられます。以下にその詳細を説明します。
ハイ・ウォーター・マーク(High-Water Mark)方式の概要
基本的な仕組み
- ハイ・ウォーター・マーク:ファンドの純資産価値(NAV)が過去最高値を上回った場合、その最高値が新しい基準となります。この最高値がハイ・ウォーター・マークです。
- 成功報酬:ファンドのパフォーマンスがこのハイ・ウォーター・マークを上回った場合にのみ、ファンドマネージャーは成功報酬を受け取れます。
具体例
- 初期設定:
- 投資家が100万ドルをファンドに投資します。
- ファンドの初期NAVは100万ドルとします。
- パフォーマンスの増加:
- ファンドのNAVが110万ドルに増加しました。
- ハイ・ウォーター・マークは110万ドルになります。
- ファンドマネージャーは成功報酬を受け取ります。
- パフォーマンスの減少:
- その後、ファンドのNAVが100万ドルに減少しました。
- ハイ・ウォーター・マークは依然として110万ドルのままです。
- 再びパフォーマンスの増加:
- ファンドのNAVが105万ドルに増加しました。
- ハイ・ウォーター・マーク(110万ドル)を超えていないため、成功報酬は発生しません。
- ハイ・ウォーター・マークの更新:
- ファンドのNAVが115万ドルに増加しました。
- ハイ・ウォーター・マークは115万ドルに更新され、ファンドマネージャーは成功報酬を受け取ります。
メリット
- 投資家保護:ファンドのパフォーマンスが過去の最高値を上回るまでは成功報酬が発生しないため、投資家はファンドのパフォーマンスが一時的に悪化した場合でも、追加の報酬を支払う必要がありません。
- インセンティブの整合性:ファンドマネージャーは高いパフォーマンスを維持する動機が強くなります。
デメリット
- ファンドマネージャーへのプレッシャー:ハイ・ウォーター・マークを超えなければ成功報酬が得られないため、ファンドマネージャーにとってはプレッシャーが大きくなる可能性があります。
- 短期的リスクの増加:ハイ・ウォーター・マークを超えるために、短期的に高リスクな投資を行うことがあるかもしれません。
ハイ・ウォーター・マーク方式に基づく成功報酬の具体的な計算方法を説明します。以下の条件を基に計算します:
- ハイ・ウォーター・マーク:110万ドル
- 現在のファンドの純資産価値(NAV):115万ドル
- 成功報酬率:20%
ステップごとの計算
- ファンドの純資産価値の増加分を計算:
- 現在のNAV(115万ドル)からハイ・ウォーター・マーク(110万ドル)を引きます。
- 増加分 = 115万ドル – 110万ドル = 5万ドル
- 成功報酬の計算:
- 増加分(5万ドル)に成功報酬率(20%)を掛けます。
- 成功報酬 = 5万ドル × 20% = 1万ドル
結果
ファンドマネージャーは、現在のNAVがハイ・ウォーター・マークを超えた分に対して20%の成功報酬を受け取るため、具体的には 1万ドル の成功報酬を受け取ることになります。
計算のまとめ
項目 | 計算式 | 結果 |
---|---|---|
ハイ・ウォーター・マーク | – | 110万ドル |
現在のファンドのNAV | – | 115万ドル |
NAVの増加分 | 115万ドル – 110万ドル | 5万ドル |
成功報酬率 | – | 20% |
成功報酬額 | 5万ドル × 20% | 1万ドル |
ヘッジファンドの一般的な報酬体系
ヘッジファンドの報酬体系は、ファンドマネージャーが提供する投資サービスに対して支払われる手数料の構造を指します。一般的には、以下の2つの主要な報酬が含まれます:
- 管理報酬(Management Fee)
- 成功報酬(Performance Fee)
1. 管理報酬(Management Fee)
概要:
- 管理報酬は、ファンドの運用資産総額に対して一定の割合で毎年支払われる固定手数料です。
- この報酬は、ファンドの運用や管理に関連する日常的な費用を賄うためのものです。
一般的な割合:
- 管理報酬は通常、年率1%~2%の範囲で設定されます。
計算方法:
- 例えば、ファンドの運用資産が1億ドルで、管理報酬が2%の場合、年間の管理報酬は 1億ドル × 2% = 200万ドル となります。
2. 成功報酬(Performance Fee)
概要:
- 成功報酬は、ファンドのパフォーマンスに応じて支払われる報酬で、通常は利益の一部をマネージャーが受け取る形になります。
- この報酬は、ファンドが一定の利益を上げた場合にのみ発生します。
一般的な割合:
- 成功報酬は通常、利益の20%が一般的です。
ハイ・ウォーター・マーク方式:
- 多くのヘッジファンドでは、ハイ・ウォーター・マーク方式が採用されます。これは、ファンドの純資産価値(NAV)が過去の最高値を超えた場合にのみ成功報酬が発生する仕組みです。
その他の報酬
ハードルレート(Hurdle Rate):
- 一部のヘッジファンドでは、成功報酬が発生する前にファンドが達成しなければならない最低リターン(ハードルレート)を設定することがあります。
- 例えば、ハードルレートが5%と設定されている場合、ファンドが5%を超えるリターンを達成したときにのみ成功報酬が発生します。
具体例
- ファンドの運用資産: 1億ドル
- 年間のリターン: 15%
- 管理報酬: 2%
- 成功報酬: 20%
管理報酬の計算:
- 1億ドル × 2% = 200万ドル
成功報酬の計算:
- ファンドのリターン(15%) = 1億ドル × 15% = 1500万ドル
- 成功報酬 = 1500万ドル × 20% = 300万ドル
合計報酬:
- 管理報酬 + 成功報酬 = 200万ドル + 300万ドル = 500万ドル
ハイ・ウォーター・マーク方式とハードルレートの違い
ハイ・ウォーター・マーク方式とハードルレートは、どちらも投資ファンドにおける成功報酬の計算方法ですが、異なる仕組みと目的を持っています。それぞれの違いについて詳しく説明します。
ハイ・ウォーター・マーク方式
概要:
- ハイ・ウォーター・マーク方式は、ファンドの純資産価値(NAV)が過去の最高値を上回った場合にのみ成功報酬を支払う仕組みです。
目的:
- 投資家を保護し、ファンドマネージャーが継続的に良好なパフォーマンスを維持するようにインセンティブを与えること。
仕組み:
- ファンドのNAVが過去の最高値(ハイ・ウォーター・マーク)を超えた場合、その差額に基づいて成功報酬が計算されます。
- NAVがハイ・ウォーター・マークを下回る場合、新たな成功報酬は発生しません。
例:
- ある時点でのハイ・ウォーター・マークが100万ドル。
- 現在のNAVが110万ドルに増加。
- 増加分の10万ドルに対して成功報酬が計算される。
ハードルレート
概要:
- ハードルレートは、ファンドが成功報酬を受け取るために達成しなければならない最低リターンのことです。
目的:
- ファンドマネージャーが最低限のパフォーマンスを達成するように促し、投資家に対する基準を設定すること。
仕組み:
- ファンドはまずハードルレートを達成する必要があります。例えば、ハードルレートが5%の場合、ファンドのリターンが5%を超えなければ成功報酬は発生しません。
- ハードルレートを超えた分に対してのみ成功報酬が計算されます。
例:
- ハードルレートが5%に設定されているファンド。
- ファンドのリターンが8%の場合、超過分の3%(8% – 5%)に対して成功報酬が計算される。
比較
特徴 | ハイ・ウォーター・マーク方式 | ハードルレート |
---|---|---|
目的 | 投資家保護と継続的なパフォーマンスのインセンティブ | 最低リターンの達成を促進 |
基準 | 過去の最高NAV | 事前に設定された固定のリターン率 |
成功報酬の発生条件 | NAVが過去の最高値を上回る場合のみ | リターンがハードルレートを超えた場合のみ |
例 | 過去の最高NAVが100万ドルで、現在のNAVが110万ドル → 10万ドルに対して成功報酬が発生 | ハードルレートが5%で、ファンドリターンが8% → 超過分の3%に対して成功報酬が発生 |
まとめ
- ハイ・ウォーター・マーク方式は、ファンドのNAVが過去の最高値を上回った場合に成功報酬が発生する仕組みで、投資家の保護と継続的な高パフォーマンスを促します。
- ハードルレートは、ファンドが一定の最低リターンを達成した場合にのみ成功報酬が発生する仕組みで、最低限のパフォーマンスを保証することを目的としています。
これらの方法は、どちらも投資家を保護しつつ、ファンドマネージャーに適切なインセンティブを提供するために設計されていますが、それぞれ異なるアプローチを取っています。