オプション投資は、少ない資金で大きなリターンを狙える魅力的な投資方法ですが、その反面、損失も大きくなる可能性があります。

特に、オプションを売る戦略をとる場合は、理論上、損失が無限大になるリスクがあるため、注意が必要です。

そこで重要となるのが証拠金管理

オプション取引を行うには、証券会社に証拠金を預け入れる必要があります。

この証拠金は、取引による損失に備えるための担保であり、証拠金が不足すると、追証が発生したり、強制的にポジションが決済されるロスカットのリスクがあります。

今回は、日経225オプション取引における証拠金の仕組みを理解し、証拠金を抑えながら安全に取引を行う方法について解説していきます。

証拠金とは?

オプション取引では、取引を行う際に、証券会社に証拠金を預け入れる必要があります。

証拠金は、取引によって発生する可能性のある損失に備えるための担保です。

もし、取引で損失が発生し、証拠金残高が不足した場合には、証券会社から**追証(おいしょう)**を求められます。

追証とは、不足した証拠金を期日までに追加で預け入れるように求められることです。

期日までに追証を入金できない場合は、証券会社によって強制的にポジションが決済されるロスカットが行われます。

日経225オプションの証拠金の計算方法

オプション取引の証拠金は、複雑な計算式で算出されますが、大きく分けて以下の2つの要素で構成されます。

  1. SPAN証拠金: 日本証券クリアリング機構(JSCC)が毎週算出する、オプション取引に必要な最低限の証拠金の基準値。原資産である日経平均先物の価格やボラティリティなどによって変動します。

  2. 掛け目: 証券会社が独自に設定する、SPAN証拠金に乗じる倍率。一般的に100%または120%に設定されています。

さらに、買いポジションと売りポジションの評価額の差額であるネットオプションバリューも証拠金に影響を与えます。

具体的には、

  • オプションを買う場合: プレミアム価格 × 枚数 × 1,000倍 + 手数料

  • オプションを売る場合: SPAN証拠金 × 掛け目 + ネットオプションバリュー

となります。

オプションを売る場合、買いポジションよりも証拠金が高くなる傾向があり、特に、権利行使価格が現時点の株価に近いオプション(ATMオプション)や、権利行使価格が現時点の株価より低いオプション(ITMオプション)を売る場合は、多額の証拠金が必要となります。

日経225オプションの証拠金を安く抑える方法

オプション取引、特にオプションを売る戦略において、証拠金をいかに抑えるかは、資金効率を高め、安定的な収益を上げるために非常に重要です。

日経225オプションの証拠金を安く抑えるための方法として、最も効果的なのは**「買い」と「売り」を組み合わせたスプレッド取引**を行うことです。

スプレッド取引とは、同じ満期日の異なる権利行使価格のオプションを同時に売買する取引のことです。

スプレッド取引を行うことで、損失を限定できるだけでなく、必要な証拠金を大幅に減らすことができます。

代表的なスプレッド取引

スプレッド取引には、様々な種類がありますが、代表的なものとして、

  • デビットスプレッド: ATMオプションに近い権利行使価格のオプションを買い、遠い権利行使価格のオプションを売る戦略。相場の方向性がある程度読めている場合に有効です。

  • クレジットスプレッド: ATMオプションに近い権利行使価格のオプションを売り、遠い権利行使価格のオプションを買う戦略。相場が大きく動かないと予想される場合に有効です。

  • コンドルスプレッド: デビットスプレッドとクレジットスプレッドを組み合わせた戦略。相場がある程度の範囲に収まると予想される場合に有効です。

  • アイアンコンドルスプレッド: コールオプションとプットオプションの両方でクレジットスプレッドを構築する戦略。相場が大きく動かないと予想される場合に有効です。

それぞれのスプレッド取引には、メリットとデメリットがあり、相場状況や投資スタイルに合わせて使い分けることが重要です。

証拠金シミュレーションを活用しよう

証券会社では、オプション取引の証拠金をシミュレーションできるツールを提供しているところが多くあります。

スプレッド取引を行う際は、事前に証拠金シミュレーションを行い、必要な証拠金を確認するようにしましょう。

SBI証券のSPANシミュレーターを例に挙げると、

  1. SBI証券のウェブサイトにログインし、「先物・オプション」のページにアクセスします。

  2. 「分析ツール」→「SPANシミュレーター」をクリックします。

  3. 銘柄、取引の種類(買い/売り)、権利行使価格、枚数を入力し、「計算」ボタンをクリックします。

  4. 必要証拠金が表示されます。

スプレッド取引の場合は、「建玉」タブで複数のオプションポジションを設定することで、証拠金を相殺した金額をシミュレーションすることができます。

まとめ

日経225オプション取引における証拠金管理は、リスクを抑えながら安定的な収益を上げるために非常に重要です。

特に、オプションを売る場合は、損失無限大のリスクがあるため、証拠金管理を徹底する必要があります。

証拠金を抑えたい場合は、スプレッド取引を行い、事前に証拠金シミュレーションを行うことで、資金効率を高めながら安全に取引を行うことができるでしょう。